〔6〕Duel Masters 異聞

Duel Masters 異聞 ―タイムチェンジャー・クロニクルズ―
■アクト6:時空の庭園



タイムチェンジャーは一瞬の閃光と共に荒涼たる原野に降り立った。
〔6〕Duel Masters 異聞





成すべきことは解(わか)っていた。
最初期の状態でオリジン種族の因子を除外することで、未来に於ける滅亡のリスクを低減すること…。



タイムチェンジャーは、まず最初に、次元圧縮して携行していた植物サンプルの種を蒔(ま)き、草木を育み、気の遠くなるような時をかけて森を造った。
そして、クリーチャーのサンプルから割り出した原生生物を培養キットで培養し、数を殖やした。
やがて森は広がり、海も大地も豊かな揺籃(ようらん)となって豊穣の時を迎えた。
〔6〕Duel Masters 異聞











プランクトン、魚類、小動物…生物たちは様々な態様に分化し、進化していった。
豊かな大地にはマナが宿り、全ては整ったかに見えた。
しかし、望むような成果は得られなかった。
何かが決定的に欠けていたのだ。
それが何なのか、タイムチェンジャーには解っていた。
ある日、タイムチェンジャーは神話の一節を思い浮かべていた…。

「偉大なる魔術師リチャードは膨大な五色(ごしき)のマナを注ぎ込み多次元宇宙プレーンを創造した。」

そう、タイムチェンジャーが造り上げた世界は5つのエレメントの内の1つを決定的に欠いていたのだ。
それは闇だった。
解ってはいたが、闇の因子を含む培養可能なクリーチャーのサンプルは時空男のものしかなかった。
元から携行していた闇クリーチャーの細胞サンプルは、時空男にボディーを侵食された際に失っていたのだ。
〔6〕Duel Masters 異聞





そのため闇の因子を欠いたまま世界を造ろうとしたのだった。
そのことが不可能であるという結果が出た今、意を決したタイムチェンジャーはオリジン因子を持つ闇のクリーチャー時空男のサンプルを元に原生生物を培養し、海に放った。
世界は均衡(きんこう)を得て、歯車は廻り始めた…。

果たしてタイムチェンジャーの時空を超えた永きに渡る旅にはどんな意味があったのだろうか。
少なくとも世界には無駄なものなどひとつもない…善も悪も大も小も賢も愚も全てが渾然一体となり、世界を形作っているのだということが証明されたといえるのではないだろうか。

全ての準備が整ったことを感じ取ったタイムチェンジャーは、元の時代に帰還することを考えたが、残されたエネルギーが残り僅(わず)かであることを悟り、植物を育てながら残された時間を過ごすことを決めた。
〔6〕Duel Masters 異聞





…永きに渡る放浪の末、太古の世界と共存を果たしたタイムチェンジャーは温もりを胸に眠りにつく。
遥かな未来にその温もりを届けるために…。

to be continued…?

■執筆後記
「デュエル・マスターズ」のカードの下に書かれた数行の文章…フレーバーテキストに想像力で味付けした物語「Duel Masters 異聞 ―タイムチェンジャー・クロニクルズ―」は今回を以て終劇となります。
が、しかし、無限の広がりをみせる「デュエル・マスターズ」の物語に終わりはありません。
新たな題材があれば、また執筆したいと考えています。
この物語を読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
この物語は「デュエル・マスターズ」を愛する全てのデュエリスト並びにタカラトミー及びウィザーズオブザコースト社の開発陣の方々、そしてトレーディングカードゲームの元祖にして最高峰である「マジック・ザ・ギャザリング」の産みの親にして偉大なる魔法使いリチャード・ガーフィールド博士に捧ぐものです。


2011年01月24日 Posted byH∧L at 10:34 │Comments(0)

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